犬と楽しく過ごすには、適切な食事管理が不可欠です。人間の食べ物には、犬にとって有害なものが多くあります。この記事では、犬が絶対に食べてはいけないものや注意が必要な食品、中毒を起こしやすいものについて解説します。
記事を読めば、犬の健康を守るための適切な食事管理の方法がわかり、安心して暮らすことが可能です。犬に与えてはいけない食べ物は、意外と身近にあります。正しい知識を身につけ、犬を危険から守りましょう。
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犬と人間の食事の違い

犬と人間では、体の構造や生理機能が違うため、食事にも大きな違いがあります。消化器系の構造や機能、栄養要求量、味覚、食物アレルギーの発生頻度と種類などが異なります。違いを理解し、犬の体に適した食事を選ぶことが重要です。人間の食べ物をそのまま与えるのではなく、犬に合った食事を与えましょう。
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犬が絶対に食べてはいけないもの

犬の健康に深刻な影響を与える食品として、以下が挙げられます。
- ネギ類
- チョコレート
- カフェイン
- ブドウ
- レーズン
- キシリトール
- アボカド
- マカダミアナッツ
- 銀杏
- アルコール
人間にとっては日常的な食品も多いため、うっかり与えてしまわないように注意が必要です。犬の健康と安全を守るために、食べてはいけない食品は犬の手の届かないところに保管しましょう。
ネギ類
ネギ類は、犬の体に深刻な影響を与える可能性がある危険な食べ物です。玉ねぎやニンニク、リーキ、ニラなどが挙げられます。犬がネギ類を食べると、赤血球が破壊され、貧血を引き起こす恐れがあります。少量でも中毒症状を起こす可能性があるため、注意が必要です。嘔吐や下痢、腹痛、食欲不振などの症状があらわれます。
重症の場合、呼吸困難や虚脱状態に陥るケースも考えられます。調理済みのネギ類も危険です。スープやソースなど、ネギ類を含む食品にも注意してください。誤って食べてしまった場合は、速やかに獣医師に相談しましょう。長期的にネギ類を摂取すると、慢性的な健康問題を引き起こす可能性があります。
ネギ類の代わりに、犬用の野菜スナックがおすすめです。犬用の野菜スナックは安全で栄養価も高く、健康維持に役立ちます。
チョコレート・カフェイン
チョコレートやカフェインは、犬にとって危険な食べ物です。犬に有毒なテオブロミンとカフェインを含むため、与えてはいけません。少量でも中毒症状を引き起こす可能性があります。症状は以下のとおりです。
- 嘔吐
- 下痢
- 多尿
- 興奮
- 不整脈
- 痙攣
- 昏睡
特にダークチョコレートは危険性が高いため、気をつけましょう。ホワイトチョコレートは比較的安全ですが、与えるべきではありません。カフェインを含む飲み物も危険です。コーヒーや紅茶、エナジードリンクなども与えてはいけません。犬にとって有害な食品や飲み物は、必ず犬の手の届かない場所に保管してください。
誤って食べてしまった場合は、すぐに獣医師に相談しましょう。犬用のチョコレート風おやつを与えれば、安全に楽しめます。
ブドウ・レーズン

ブドウとレーズンは、摂取量に関係なく犬の体に深刻な影響を与える可能性があります。犬がブドウやレーズンを食べると、急性腎不全を引き起こす危険性が高くなるため、注意してください。嘔吐や下痢、腹痛、食欲不振、無尿、衰弱などの症状が現れます。症状は摂取後24〜72時間以内に現れます。
すべての犬種や年齢の犬に影響があるため、少量でも絶対に与えないようにしましょう。ドライフルーツやケーキなどの加工食品にも注意が必要です。家庭内でブドウやレーズンを扱う際は、犬の手の届かない場所に保管してください。誤ってブドウやレーズンを食べてしまった場合は、速やかに獣医師の診察を受けましょう。
キシリトール
キシリトールは、低カロリーの人工甘味料として知られていますが、犬にとっては危険な食品です。少量でも犬の体内で急激な血糖低下を引き起こし、重篤な症状を引き起こす可能性があります。症状は嘔吐や倦怠感、協調運動障害、発作などです。キシリトールを摂取してから、30分以内に現れます。
最悪の場合、肝不全や死亡につながる危険性があるため、注意してください。キシリトールは、ガムや歯磨き粉、一部の菓子類に含まれます。誤って犬がキシリトールを摂取してしまった場合は、直ちに獣医師の診察を受けることが重要です。キシリトールを含む製品は、犬の手の届かない場所に保管しましょう。
アボカド

アボカドは人間にとっては健康的な食品ですが、犬の体には悪影響です。アボカドに含まれるペルシンという物質が、犬に有害な作用をもたらします。ペルシンは果肉や種子、皮、葉のすべてに含まれており、少量でも中毒症状を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
犬がアボカドを食べると、嘔吐や下痢、呼吸困難を引き起こす場合があります。アボカドは、心臓や消化器系に悪影響を与えます。アボカドオイルも危険です。誤って犬がアボカドを食べてしまった場合は、速やかに獣医師に相談してください。家庭内でアボカドを扱う際は、細心の注意を払いましょう。
マカダミアナッツ
マカダミアナッツは、少量でも重大な症状を引き起こす可能性があるため、与えないでください。犬がマカダミアナッツを食べると、以下のような症状が現れることがあります。
- 嘔吐
- 下痢
- 脱力感
- 歩行困難
症状は通常24時間以内に現れますが、原因物質は完全には解明されていません。マカダミアナッツは高脂肪で、犬の消化器系に大きな負担をかけ、膵炎のリスクも高まります。誤って犬がマカダミアナッツを食べてしまった場合は、すぐに獣医師に相談しましょう。
銀杏

銀杏の実に含まれるギンコール酸という毒素は、犬の体に悪影響を及ぼします。特に未熟な実や生の実は毒性が強いため、注意が必要です。犬が銀杏を食べると、嘔吐や下痢、痙攣、発作が現れます。小型犬や子犬の場合、少量でも重篤な症状を引き起こす危険があります。
犬が銀杏を食べてしまった場合は、すぐに獣医師に相談しましょう。早めの対応が大切です。庭に銀杏の木がある場合は、落下した実を速やかに拾い集めてください。散歩中に犬が拾って食べないよう注意を払うことも重要です。調理済みの銀杏も与えてはいけません。
アルコール
犬の体はアルコールを適切に処理できないため、少量でも深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。具体的な症状は、嘔吐や下痢、呼吸困難、昏睡状態です。症状はビールやワイン、蒸留酒など、あらゆる種類のアルコールで起こります。ケーキやパンなど、アルコールを含む食品も危険です。
重症の場合、命に関わる事態に発展する可能性もあります。犬がアルコールを誤って飲んでしまった場合は、すぐに獣医師に相談しましょう。飲み残しや料理に使用したアルコールは、犬の手の届かない場所に保管してください。
犬が食べる際に注意が必要なもの

犬の健康を守るために、以下の食べ物には注意が必要です。
- 生の卵白
- 牛乳・乳製品
- 鶏の骨
- 生肉・生魚
- 加工肉(ハムやソーセージなど)
与える際は少量から始めて犬の反応を観察し、体調の変化や異常が見られた場合はすぐ獣医師に相談しましょう。
生の卵白
生の卵白は、タンパク質の吸収を阻害する可能性があるため、注意が必要です。生の卵白に含まれるアビジンという酵素は、ビオチンという栄養素の吸収を妨げ、欠乏症のリスクを高めます。症状は、皮膚の問題や毛並みの悪化、消化器系の不調などです。生卵のサルモネラ菌感染リスクも忘れてはいけません。
サルモネラ菌は、犬の健康に深刻な影響を与える可能性があるため、大量摂取は避けましょう。安全性を考えるなら、茹でた卵白が適切です。
牛乳・乳製品
牛乳や乳製品は、犬にとって消化不良や下痢のリスクがあります。多くの犬が乳糖不耐症のため、与える際には注意が必要です。少量なら問題ない場合が多く、低脂肪や無脂肪の乳製品だとより安全です。以下の乳製品は、少量であれば与えても問題ない場合があります。
- 低脂肪ヨーグルト
- カッテージチーズ
- プレーンギリシャヨーグルト
ヨーグルトは腸内細菌に良い影響を与え、犬の健康維持に役立ちます。チーズも少量なら与えても問題ありません。アイスクリームは糖分と脂肪が高いため、代わりに犬用のミルクや乳製品を選びましょう。犬によって個体差があるため、体調や反応をよく観察しながら、少量ずつ様子を見て与えてください。
鶏の骨
鶏の骨は犬にとって危険です。骨が砕けると、犬の口や喉、食道、胃、腸を傷つける危険があります。腸閉塞を引き起こす危険もあるため、注意が必要です。生骨は細菌感染のリスクもあります。調理済みの骨は砕けやすく、より危険性が高くなります。
大きな骨でも噛み砕く犬種がいるため、骨の代わりに安全なおもちゃを与えましょう。誤って食べてしまった場合は、すぐに獣医師に相談してください。
生肉・生魚

生肉や生魚を犬に与えるのは、健康上のリスクがあるため、避けるべきです。生肉や生魚には寄生虫や細菌が含まれている可能性が高く、食中毒を引き起こす危険があります。サルモネラ菌や大腸菌感染、寄生虫感染、消化器系への負担などのリスクが挙げられます。
犬の消化器系は、生肉や生魚の消化に適していません。生肉や生魚より、フリーズドライや加熱処理された肉・魚製品の方が安全性が高いです。新鮮で高品質な食材を選び、十分な衛生管理を行いましょう。
加工肉(ハムやソーセージなど)
加工肉は塩分や添加物が多く含まれているため、犬の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。具体的には、以下のような症状が挙げられます。
- 消化不良
- 下痢
- 肥満
- 膵炎
- メトヘモグロビン血症
- 胃腸への刺激
- 腎臓や肝臓への負担
少量であれば問題ない場合もありますが、基本的に与えない方が安全です。与える場合は、無塩・無添加の製品を選び、細かく刻んで少量にしてください。安全性を考えると、犬用のジャーキーなど専用のおやつを選ぶ方が望ましいです。犬の健康を守るためには、人間の食べ物ではなく、犬に適した食事やおやつを与えましょう。
犬が食べると中毒を起こしやすいもの

犬が中毒を起こしやすい食品には、香辛料や調味料、高脂肪食品、生地や発酵食品があります。誤って食べてしまった場合は、獣医師に相談することをおすすめします。
香辛料や調味料
香辛料や調味料は、犬にとって有害な影響を及ぼす可能性が高いものです。多くの香辛料や調味料には、犬の消化器系を刺激したり、中毒症状を引き起こしたりする成分が含まれています。特に注意が必要なのは以下の香辛料や調味料です。
- 塩
- 過剰摂取すると脱水や電解質バランスの乱れを引き起こします。
- 砂糖
- 肥満や歯のトラブルの原因です。
- ニンニク
- 赤血球を破壊し、貧血を引き起こします。
- ショウガ
- 胃腸のトラブルの原因です。
- 唐辛子
- 口や胃に炎症を引き起こします。
香辛料や調味料を使った人間用の食べ物は、犬に与えないようにしましょう。誤って食べさせてしまった場合は、すぐに獣医師に相談してください。犬の健康を守るには、専用のドッグフードを与えるのが最も安全です。
高脂肪食品
犬の体は人間と違い、高脂肪食品を消化するのが苦手なため、与えすぎるとさまざまな問題が起こる可能性があります。注意が必要な食品は、以下のとおりです。
- バター
- マヨネーズ
- 脂身の多い肉
- フライドポテト
- チーズ
- クリーム
- 揚げ物全般
高脂肪食品を犬に与えすぎると、肥満や膵炎など消化器系の問題を引き起こす可能性があります。オリーブオイルやココナッツオイルなどの良質な油を少量与えるのは問題ありません。犬の体格や年齢に合わせて適切な量を与えましょう。
生地や発酵食品
生地や発酵食品は、犬の消化器系に悪影響を与える可能性がある成分が含まれています。発酵途中の生地にはイースト菌が含まれており、犬の胃の中で増殖すると、胃拡張や中毒を引き起こすため、危険です。発酵食品に含まれる塩分や香辛料、調味料も犬の体に負担をかける可能性あります。
乳酸菌を含む発酵食品は、犬が乳糖不耐性を引き起こす可能性があります。酵母も犬の消化器系に負担をかけるため、注意が必要です。ビールやワインなどのアルコールを含む発酵食品は、犬にとって特に危険です。発酵食品に含まれる添加物や保存料は、犬の健康に悪影響を及ぼします。
発酵食品を過剰に摂取すると、ガスや腹痛などの症状が現れる場合があります。犬の消化器系に合わない発酵食品もあるため、与える際は十分に注意しましょう。
食べてはいけないものから犬を守る方法

犬を食べてはいけないものから守るためには、ゲートを設置したり、訪問者へ注意喚起したりすることが重要です。万が一の際の獣医師の連絡先を把握しておき、犬の安全を確保しましょう。
ゲートを設置する
犬を食べてはいけないものから守るには、ゲートの設置が効果的です。キッチンや食事スペースの入り口にゲートを設けると、犬が危険な食べ物に近づくのを防げます。適切なゲートを選ぶには、以下のポイントを守りましょう。
- 十分な高さ
- 丈夫で安全な素材
- 簡単に開閉できるロック機能
ゲートを設置したら、食事の準備中や食事中は必ずゲートを閉めておきましょう。犬の大きさや行動特性はさまざまなため、それぞれの犬に合わせて適切なゲートを選ぶことが大切です。犬を危険から守るために、ゲートを定期的に状態をチェックし、必要に応じて補修や交換を行ってください。
訪問者へ注意喚起する
犬の健康と安全を守るために、訪問者にも協力をお願いしましょう。人間の食べ物には犬にとって有害なものが多くあります。チョコレートやネギ、ブドウなどは特に危険なため、与えないように伝えてください。犬が誤って食べてしまうのを防ぐため、テーブルや床に食べ物を置かないようにしましょう。
危険な食品のリストを目立つ場所に掲示し、訪問者にも注意を促すことが大切です。
犬が食べてはいけないものまとめ

犬にとって有害な食べ物を理解するのは、犬の健康と安全を守るために重要です。人間の食事と犬の食事には大きな違いがあります。人間にとって安全な食品でも、犬にとっては危険なものがたくさんあります。特に注意が必要な食品は、ネギ類やチョコレート、ブドウ、キシリトールなどです。
犬の体に深刻な影響を与える可能性がある食べ物は、与えてはいけません。生の卵白や牛乳など、少量なら問題ないものもありますが、与える際は慎重に対応する必要があります。香辛料や高脂肪食品は中毒を引き起こす可能性があるため、避けましょう。
犬を守るには、危険な食品に関する正しい知識を持ち、適切な対策を講じることが大切です。ゲートの設置や訪問者への注意喚起など、具体的な対策を実践すると、犬の安全を確保できます。